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本気になんかならない

第22章 カラーレス

続いて彼は、話題を移す。

「紀ちゃんのピンクトート、
お前からのプレゼントなんだって?」

「うん」

「大事にしてたよ。
汚れるからって絶対に床に置かねぇの」

北里、俺の使ってくれてるんだ。
俺もあのカバンは今でもお気にいり。

自分の好きなものを北里も好きでいてくれる、、
俺のなかが温かく和んだ。

彼は、「これか。。」と
脇にあった俺のトートを眺める。

「そうだ!
もっちーも就職のお祝いはカバンほしい?」

なのに彼は、首を横に振った。

「俺は時計がいい」

男から、それも教え子から時計なんて貰いたい?

「じゃあ、校長になったら時計を贈るよ」

「何十年先だよ。。
それに俺は、校長ってガラじゃない」

「わっかんないよ?
多少のいざこざもひょうひょうとこなしてるよ、きっと」

どういうわけか、うちの白峯にだって信用されているんだから。

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