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本気になんかならない

第27章 熱

目を開けた俺は、クリームイエローのカーテンで遮断された部屋に横たわって

ここがどこかと首を動かす。
だけど、身体全体がだるい…。
と、すぐ横で声がした。

「気づいたな、よかった」

…白峯?

「気分は?」

「んー、まあまあ」

もしかすると、ここは病院?

「……はしかだろうって。
海外出張から戻ってきた教授から貰ったらしいよ」

「え?俺、昔にかかってなかったかな?」

「あれは3日ばしか(風しん)だよ。
はしかの予防接種はしたんだけどな。
和波は1回しか受けてなかったから不充分だったらしい」

そっか、病院の処置室か。
部長が連絡してくれたのかな。

「はしか…。白峯、うつるんじゃ?」

「俺は幼少期になってるから、もう一生かからない」

「そう、よかった。
…俺もしかして、大学でばらまいた?」

よりによって学祭だったし。
小さい子には接触してないけど。

「こっちの国では以前から2回接種が当たり前だったから、そうかかるもんでもないよ。

それに、そんなの治ってから気にしろ。
というかな、お前。もっと早く気づけ!

2~3日前から熱出てたんじゃないのか?
昨日は昨日で、雨に打たれて帰ってくるし」

「言われてみれば、しんどかったかな?
耳が何かおかしいんだ。
頭ごと透明のカプセルに入ってるような感じで、触ると痛い」

「中耳炎おこしてるのか?他には?
ドクター呼んでくるから、待ってろ」

そう言って、白峯は部屋を出ていった。

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