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本気になんかならない

第28章 green flowers

洗面所兼脱衣室に置き去られた俺、これからどうしようかと首をひねる。

うーん、でも、ここは汗を流してしまおう。

今は別段気持ち悪くもないけれど、そのうちにベタついてくるだろうし
自分ではあんまりわからないけど、汗の臭いって嫌がられるだろし

いや。
すでに臭ってたから、ここへ押しこまれたのかも。
飲食店に客でもない汗男が滞在してちゃ、衛生上問題ありだもんな。

と、ユニットバスに入りシャワーコックをつかんだ時、ドア向こうで音がして俺はビクッと身がまえる。

「ここにタオル置いておくから、遠慮せずに使え?
あ、お湯の出しかた、わかるか?」

と、すりガラスの向こうから手が伸びてくるのが見えて

「わかりますっ!大丈夫ですっ!」
と、急いで返事した。


その後
シャワーを終えた俺は、2枚折りのドアを少し開けて見えたタオルに手を伸ばし、拭く。
3枚置いてあったけど、1枚でなんとかいけそうだ
と、脱衣室に足を進めた。

その棚には、シャツとボクサーパンツが用意してあって、、

えっと、
俺の着ていた、服は?

着替えの横に、俺のポケットに入っていただろう
裸の現金と定期とスマホふたつが並んでいるのだけど。

俺の服、ないーっ!

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