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本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

時刻は午前11時に届くかというところ。
バイト先にクルマを置かせてもらって大学に行こうか…

そう考えていた俺の前を、北里が通りすぎる。

俺に気づかずに、えっちらおっちらふうに歩いて。
細い足首が余計に頼りなく見えて。

少し迷ったけど俺は、クルマをおりて呼びかけた。

「これから帰り?」

こちらを向いた北里の顏が
瞬間で笑顔になったのは

俺の気のせいかな…?

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