テキストサイズ

本気になんかならない

第29章 オーバーラップ

しばらく無言の車内、先に口を開いたのは北里。

「よかったね。帆澄君、今日から登校?」

帆澄?あ、そうだ。
アイツの件でこんなことになったんだった…
助手席に北里ってことに意識が飛んじゃって、一瞬忘れてた。

「うん。北里もかばってくれたんだろ?
ありがとう」

そうだよ、俺の礼儀知らず。
いの一番に、これを言わなくっちゃいけないのに。

「加害者側の少年たちの証言があったのよ。
やりたくなかったけど、しかたなく参加したって」

「それを集めてくれたんだ。
ひとりひとりまわって」

一応の謝罪と称して俺が訪ねていったときには、もう先生に話したって言われたし。
身重なのに…。

「100人もいなかったからね」

「本当にお世話になりました。
…お礼に休日、ランチとか誘っても?」

既婚者で妊婦さんだから、やめといたほうがいいかもとも思ったけど、それなら断りゃいいんだからって俺は軽く言ってみた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ