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本気になんかならない

第30章 初デート

「大丈夫?ドアまで送るよ」

荷物はたいしてなかったけれど
2階までの外階段、後ろにひっくり返ったら大変と、俺は彼女のあとをついていく。

「ありがとう、ここなの。お茶でも?」

「いや。喉は渇いてない」

クルマは路駐、これからバイトと
断る理由はもちろんそれだけじゃない。

北里と、誰かの部屋に入るなんて
苦い思い出はもう要らない。

社交辞令だったのか、彼女はそのままの笑顔で別れの言葉を選ぶ。

「和君、会えてよかった。元気な赤ちゃん産めそう!」

「おう。がんばれよ」

本日はここで終了。

寂しさもあるけれど、気をとりなおして
ドアが閉まるのを見送ろうとした。

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