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本気になんかならない

第5章 レスポワール

ところでこのコ、家はどこ?一緒に帰ろと言われたからには、男の俺が送らなきゃだよな?
皆中ほめられたし、チョコも貰っちゃったし。

これは尋ねなくちゃと立ちどまった。すると俺よりも先に、そのコが話しだす。

「宮石君」

「うん?」

「私のこと、彼女にして?」

「………うん」

もう、頬っぺた叩かれたくないし。そんな理由で俺はうなずいた。
どうせバレンタインのジョークだろ。
きっとどこかで学校のヤツが、笑いながら見てるんだ。動画でも撮ってるんだ。
ここで拒否したら、また誰かが渡しにくるんだ。
俺が受けとるまで。それこそ北里と待ちあわせのバーにまで。

とにかく俺に彼女を作らせて、喜ばせて、翌日にはネタばらしってやつ。
今年のターゲットは俺。そういうことなんだ。
去年誰かがやられてたもんな。うっかりしてたよ。

今日は朝からどうもおかしい。きっとすべてが仕組まれてたんだ。

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