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本気になんかならない

第37章 余波

押し黙った私を見て逆上した彼は、私のカバンを取って、ひっくり返して中身をぶちまけた。

私の財布や化粧ポーチがバラバラと床に転がる。

「何するのよ!返してよ!酷いじゃない!」

「酷いのはどっちだよ?」

取りかえそうとした私の腕を押さえつけて、空になったカバンを窓の外へ放り投げた。

急いで外に顔を出すと、窓下の川に浮かぶカバン。

裸足で階段を駆けおりたというのに、流れに乗ったカバンはもう、なくなっていて。
そのまま、川下へ歩いたけど、どこにも見当たらなかった。


「…ごめんね。びっくりしたよね」

膨らみかけたお腹をさすりながら、真っ暗な家に帰った。

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