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本気になんかならない

第41章 妹

そんなことより。

「こんなふうに、ふたりの時間がほしいな」

運転手白峯が聞いていないことを信じて、本音を呟いた。
彼女の方向を見る。

「え?」

彼女のきっちりとそろえた膝上の手に、自分の手を重ねる。

すると彼女は、俺の手を押しやった。

「ごめんなさい」

即答ですか。。
だけど、俺を心配して今日は来てくれたんだろ?
あんなに必死になりながら。

「教えて?何が引っかかってるの?
やっぱり育児と仕事?」

しばらく彼女は、俺の瞳を覗く。
それから、表情なく、カバンに手を入れた。

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