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Memory of Night

第11章 罠


「……詫び……入れろよ。許してくださいって言えよ!」


 肩を上下させ、金髪は吠えた。

 もう何発殴られたのかわからない。体中が痛い。

 左足は特にひどく、足を地面に着いているのも辛かった。

 男達に両腕を掴まれていなければ、そのまま金髪男の足元に崩れてしまっていたかもしれない。

 金髪の手が伸び、骨が痛む程強く顎を掴まれ無理矢理顔を上げさせられた。

 品定めでもするかのように、じっと見つめられる。


「ふん。確かに顔だけは綺麗な顔をしてやがる」


 そしてだんまりを決め込んでいた小柄な男を一瞥し、言った。


「あいつが、おまえとヤりてーんだと。なぁ、おまえ男との経験も豊富なんだろ? あいつ初心者なんだよ。優しく教えてやってくんねぇ?」


 その声音にはあからさまな嘲笑を含んでいた。

 宵は睨むのをやめない。


「やだ」

「拒否権はねぇよ」


 金髪男が注射器を持ち上げる。

 宵の右腕に、刺した。


「……っ」


 もちろん、静脈の位置を確認したわけでも筋肉を揉みほぐしたわけでもない。

 針を突き刺される痛みに、思わず顔を歪める。

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