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Memory of Night

第13章 吉報


 明は指定の学生鞄の他に、大きめのオシャレな紙袋を持っていた。その中には、ほぼ満杯に物が詰め込まれている。

 そんなにたくさん一体何を入れているのか聞くと、明は思い出したように両手を叩いた。


「そうそう、すっかり忘れてた」


 言いながら、紙袋をベッドの上に乗せる。

 それからにんまりと笑って、宵を指さした。


「これ、ぜーんぶあんたへの見舞い品。頼まれたんだよねー、クラスの子たちに」

「はあ!? 誰だよクラスの子って」

「うーんとね。これがあゆちゃん、これが美香。……これゴン太だっけな?」


 赤い紙袋の中からショートケーキやらカステラやら果物やらを取り出し、明は贈り主の名前を挙げていく。


「相変わらずモテモテねー。何このギャグみたいな見舞い品の量」


 大爆笑しながら袋の中を探っている明をよそに、宵は頭を抱えたくなった。

 袋から出てくるのは、見舞いの時の定番である甘いお菓子や果物ばかり。

 ようやく熱が下がり、病院食がなんとか食べられるようになったばかりなのに、こんなもの食べたら胃がどうにかなってしまう気がする。

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