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Memory of Night

第16章 終章


 ――冬も本格的に到来を迎える十二月の半ば頃。

 宵は晃に連れられ、姫橋神社にいた。


「……たく、信じらんねー。こんな寒ィ日に散歩かよ」

「まぁまぁ」


 石段に座り不機嫌そうにつぶやく宵の隣で、晃がなだめるように言う。


「こんな日だからこそだろう?」


 そう言って、晃は視線を正面に向けた。

 眼前に広がるのは、どこまでも鮮やかな白。

 この地域では珍しく、昨日は雪が降ったのだ。

 夕暮れ時から明け方近くまで降り続き、地面から十センチ程度積もったそれのおかげで見える景色はだいぶ変わった。

 目に痛いほどギラギラと太陽の光を反射し、辺り一面銀世界だ。


「……おまえって、妙なとこでロマンチストだよな」

「君が夢なさすぎるんだよ。この辺じゃ、こんなに雪が降ることってめったにないよ? 溶ける前に堪能しておきたいじゃん」


 だったら一人で堪能してろよ、とは思うものの、晃の様子は見ていてわかるくらいに上機嫌だ。

 雪を眺めながらあからさまに嬉しそうな顔をされると、文句を言う気もなくなってしまう。

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