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Memory of Night

第3章 秘密


 ――独占欲。

 そんな言葉が、頭に浮かんだ。

 きっと晃が宵に対して寄せる思いは、『好き』でもなんでもない。ただの独占欲なのだ。

 裕福な家に産まれて、欲しいものはすぐに、金と引き換えに手に入れることができたのだろう。

 優等生でなんでもできて、顔だって、人をうらやましがるほど悪くなんてない。相手にも、きっと苦労していないはずだ。


(……俺を抱いた時だって、気まぐれとか、退屈しのぎとか、そんなもんだったんだろうな)


 晃を誘って抱かれた時。

 抱かれるというよりは、縛って、なぶって、遊ばれていただけだったような気がする。

 それだけなのに、あんなに感じて、終わった後も晃の行動に体を熱くしている自分が、なんだか馬鹿みたいに思えた。


「それじゃ、また明日学校で」


 ここからなら道わかるから、と言って、晃は帰っていった。

 真っ暗な裏通りでは、晃の気配はすぐになくなってしまう。

 宵も、自分の家に向かって歩き出した。

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