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〈O's eyes〉

楽屋を出た後、駐車場へ向かおうとしたら翔くんに止められた

「智くん、今日はタクシーで帰るから」

「え？そうなの？」

いつもはマネージャーに送ってもらうのに

「うん。ちょっと寄りたいところがあるから」

あ、そっか…コンビニスイーツ買うから…

でもそんな理由でタクシー使う？
マネージャーにコンビニに寄って貰えば済むことだよな…

翔くんの事だから寄り道させるの申し訳ないって
マネージャーに気を遣ったのかな？

ちょっと気にはなったけど
翔くんに言われるがままタクシーに乗った

翔くんがスマホを運転手さんに見せる

「ここに行ってください」

「畏まりました」

翔くんは座席に深く座りなおすと
シートに置いてある俺の手を覆い、握った

自分から背中にくっついたりする時はそれほどでもないのに
翔くんからされると手を握られただけでもドキドキしちゃうんだ

「智くん…」

「えっ？なにっ？」

ドキドキしてるから過剰反応になった

そんな俺に翔くんは優しく微笑んでくれるから、またドキッとしちゃう

「コンビニのスイーツ、今日じゃなくてもいいかな？」

「あっ、うん。いいよ、いつでも」

コンビニに寄るんじゃないんだ…

「ごめんね、明日買いに行こうね」

そんなに食べたい訳じゃない
ただ翔くんに甘えたかっただけなのに謝らせちゃった

翔くんはいつもそうだったよな…
俺が悪い時でも自分が悪かったみたいに身を引いて謝ってくれる

その分、本気でダメな時は引かないから
『あ、これは俺がダメなヤツだ』ってわかり易くて、俺も素直に謝れた

翔くんとは一度も揉め事起こさなかったよなぁ