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CAさんの秘密のお仕事

第3章 初めてのお客様



奈穂「本日はご搭乗、ありがとうござい
ました」

宏樹「こちらこそ、ありがとう」

奈穂「宏樹さん…」

宏樹「?」

奈穂「初めてのお客様が宏樹さんで良か
ったです、本当に…」

宏樹「ぅんっ…」

奈穂「…」


別れの時が近づいていた

ほとんどのお客さんが一回限りで終わる
高額な事もあり何度も利用する
お客さんは少なく
今回も…


宏樹「…」

奈穂「またのご搭乗を…」

宏樹「今度はCAとお客としてじゃなく
一人の男と女として会いたいな…」

奈穂「えっ」

宏樹「だからこれっ…」

奈穂「!?」

宏樹「気が向いたら連絡して」

奈穂「あ…」

宏樹「それじゃあ…」

奈穂「…」


別れ際に渡されたのは小さなメモだった
メモには彼の携帯番号が
書かれていた


奈穂「電話番号だ…」


自慢ではないがこういう事は日常茶飯事
対応は人によって違うが奈穂は
全部処分していた

一度も連絡先を教えた事はないし
連絡をした事もない
だけど…


奈穂「…」


今回、奈穂はそのメモを処分する事なく
平静を装いながら胸ポケットに
そっとしまい込んだ


奈穂「さっ、仕事に戻らないと…」


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