
a faint
第25章 N-11
N’s eye
季節が一巡して。
365日前と同じ日付けの今日の天気は 陽が当たっているのに 俄(にわか)雨で辺りが烟(けぶ)ってぼんやり霞んでいる…狐が嫁入りをすると云われている そんな天気だった。
湿気た風を孕む掃き出し窓のカーテンの向こう側、ベランダへ寄りかかり 指にタバコを燻(くゆ)らせて 謎めいた儚い笑みを湛えているオマエ。
何を想い 空を見上げ その双眸を潤ませているのか。
泣きそうにグズついた目と相反する薄笑い、ちぐはぐな感情は まるで今の空模様の具現化だ。
今にもベランダを乗り越えて 真っ逆さまに地上を目指しそうな危うさを 見るにつけに 堪らず 両の手でその視界を遮(さえぎ)った。
風に戦(そよ)ぐサラサラした毛先が 無防備な耳を撫でている。
その耳朶の縁を ゆっくりペロと舐め上げれば こそばゆそうにピクと竦められた肩。
何の抗(あらが)いもなく 大人しいのを好いことに 其れを口に含み ねっとりとしゃぶりたくっても されるがままに与えられる快感を甘受している。
指に挟みっ放しの吸いかけのタバコを取り上げ
「見せてみろ 思い切りイクところをよ」
前に回した手で股間を円を描くように 撫で摩(さす)れば フルと小刻みに身を震わせ 甘い声を漏らす。
その細く軽い身体を反転させ ユルユルのカーゴパンツと下着を一気に膝まで下げるのと一緒にしゃがめば 反射的に内股になる初心な仕草に こちらの頬がフッと緩む。
目の前の 外気に晒された日焼け知らずの白い腿が プツプツと粟立つのを尻目に これみよがしに舌を思いきり突き出し ふにゃと項垂れたソレの先をチョンと舌で啄く。
上から息を詰める気配に気を良くして ゆっくり丸いツルンとした頭を口唇でフニフニ食む。
ユラリとそそり立とうとするその茎の芯を捉え なぞるように 前後に舐めれば フルフルと か細く揺れながら 硬くなってくのが これまたそそる。
ベランダにしがみつく指先が白い。
その手を掴んで引き寄せれば
” ………カズ ”
声になってない声に呼ばれ 堪らず 固いコンクリートの上へヤツを押し倒した。
むさぼって がっついて 迸るネツと 滾るヨクを ひたすら奥へぶつけた。
灰色の空と冷えた雨。
灰色のコンクリートに冷めたオマエ。
ただただ溺れてればいい…俺だけに。
