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Kissシリーズ

第17章 病弱なキス

「ヤダぁ! 学校行くぅ~!」

「ガマンしろ。お前、熱あるじゃないか」

布団の上で、ジタバタ暴れる。

「今日って遠足じゃない! 楽しみにしてたんだからぁ!」

「だからムリだってば。行ったとしても、みんなに迷惑かけるだけだぞ?」

「うっ…!」

ぴたっと動きを止めると、そのまま布団に寝かしつけられる。

「今日は一日寝ていろ」

「だって…」

「陶芸教室と遊園地なら、体調が回復したら連れてってやるから」

そう言ってわたしの頭を撫でる優しく大きな手。

「…みんなと一緒じゃなきゃ…今日じゃなきゃ意味無いのに…」

そのまま眼を覆い隠され、わたしは涙を流しながら眼を閉じた。

…幼稚園の時からいっつもこうだ。

生まれ付き、病弱体質の為、まともに学校にも行けない。

それは小・中・高校に上がった今でも同じで…。

せっかく私服で行けるってことで、新しい服も買ったのにぃ…。

「いいから寝てろ」

わたしは幼馴染の彼の腕を掴んだ。

「…行って良いわよ」

彼は父さんの秘書の息子。

同じ歳のせいで、小さい頃からずっとわたしの面倒を見てくれている。

「行かないよ」

「行って良いってば!」

わたしは目を覆っている手をはがした。

「用意、してきたんでしょう? もったいないわよ」

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