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若様の性長日記!

第1章 若様の性長日記!

「お前…男じゃねーな」

とりあえず一発ぶん殴ったのは、間違いではないと今でも言える。

淡い恋心を抱いたことがないとは言えないが、憧れの方が強い。

いっつもオレの面倒を見てもらっているせいだろう。

会社に来るまでも、車に乗せられてきた。

そう、あれは十分ほど前―。

オレは梢さんが運転する車の後部座席に深く腰をかけながら、深く息を吐いた。

これから向かうは親父の会社。

大学を卒業したのはつい先日の話。

オレはいよいよ親父の会社に就職する…のに、私服。

スーツなんか着てくるなと、昨夜親父に笑い飛ばされたからだ。

会社に行くのは今日が初めてでも、社員には何度か顔を合わせている。

でもだからと言って、私服はないような気がするけどなぁと思う。

「若様、緊張なさっています?」

バックミラー越しに、梢さんの視線を感じた。

「いや、それより何の仕事をさせられるのか、心配の方が強い」

「今日は会社の説明だけですよ。仕事の方は後日となります」

「説明長い?」

「最初に若様に理解なさって欲しいことは、そんなに長くはないかと…。ただ」

そこで梢さんが苦笑した。

赤い口紅が、いたずらっぽく光っている。

「理解するのに時間がかかるかもしれませんね」

ぞわっ!

「はっ?」

何故かそこで全身に悪寒が走った。

「まあ後は社長からお聞きください」

「あっああ…」

この時、オレは体が警告していたことに気付かなかった。

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