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若様の性長日記!

第1章 若様の性長日記!

「まあしばらくはわたしや梢の元で仕事を覚えるといい。指導はするからな」

暗雲を背負っているオレに気付かず、親父は話を進める。

「だが感覚的なことについては、後にちゃんと学んでもらうからな。お前の体で」

ニヤッと親父が笑うものだから、背筋にぞわっと鳥肌が立った。

「かっ体って…」

「まあそこら辺は梢」

「はい」

「お前に任せる。お前の指導で、コイツを成長させてやれ」

「かしこまりました」

何で当事者のオレ抜きで話が進む?

「だがしばらくはわたしの元でな。あっ、ちなみに母さんにはこの会社のことは内緒でな」

「はあ?! 母さん、この会社の内容知らないのかよ?」

「詳しいことは知らせていない。お前と同じく、普通の人材派遣会社だと思っているだろう」

「…今後真実を告げる気はないのか?」

「無いな。いくら妻でも、教えられない内容だろう?」

ああ、そこは常識的なんだな。

妙に感心しながら、母親のことを思い浮かべる。

温和なお嬢様育ちの人で、ちょっと天然が入っている。

親父は母にメロメロで、いつまでも仲が良い夫婦だ。

確かに考えてみれば、こんな会社の内情を知っている人ではないな。

つーか理解できないだろう。

「母さんには普通の会社勤めと言っておけ。余計な心配はかけたくないだろう?」

「それはお互い様! …とりあえず、親父と梢さんに引っ付けばいいんだな?」

「ああ。しばらくは秘書のような役目をしてもらう。梢の他にも秘書はいるからな。そいつらから学ぶことも多いだろう」

「へいへい。頑張りますよ」

「コラ、ここは『はい』だろ?」

「はいはい」

あくまでも反抗的な態度を取っていたオレだが、まだこの会社のことを、よく理解していなかった…。

―その後。

親父と梢さんに付き添われ、紳士服店に行って、オーダーメイドでスーツを頼んだ。

春夏秋冬、四つの季節に合わせて、四種類のスーツを各10着ずつ。

シャツから靴下まで、オーダーメイド。

親父から就職祝いだと言われた。

相変わらず親バカすぎる。

翌日からは梢さんと一緒に、仕事を始めた。

根本的には人材派遣が仕事内容なので、学ぶことは山のようにあった。

何より客は個人が多い。

ゆえに秘密にすることも多く、メモなどできず、頭の中に叩き込むことが多くて目眩がする。

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