オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第23章 翌朝
「んン ……」
思考がまとまりきらない内に
各務先生も目を覚ました。
「あ……かが……」
「あ ―― ん? あ、あぁ、昨夜はあやんち
泊まったんだな」
「あ、う、うん。おはよう、ございます……」
「あ ―― 腰、いてえ……」
そう。
昨夜は彼もしこたま飲んでいて……
お……覚えているだろうか?
最早忘れてしまってくれてた方が有難い
「なぁ」
「あ、はい!」
「みず、くれる?」
「はい、今すぐ!」
バタバタととりあえず
ローブだけ羽織ってキッチンで
水を入れ寝室に戻る。
各務先生はベットに素っ裸のまま座り
痛そうに後頭部を摩っていた。
「ハイ、お水」
「おう、サンキュ」
まだ寝ぼけているのか?
自分が素っ裸なのに何の反応も見せない
コップ一杯の水を飲み干すとグラスを
私に渡し大きく伸びをした。
「いってぇ……」
「あ ―― 頭痛、やっぱひどいよね?
クスリ飲んでおく?」
あれだけ飲んだのだ、
そりゃそうだろう……
と思ったのに ――
抱えたままの衣服へ半ば顔を埋める
ようにして、
恥ずかしがる意外に乙女な私を見て
各務先生はちょっとしたイタズラ心を
起こす。
”昨夜はこの天然小悪魔に
煽られっ放しで、
とうとう一睡も出来んかったんねや
から、
このぐらいのおイタは許容範囲
だよな~”
わざと私の耳元へ口を寄せてきて、
甘い声で囁く。
「ちげぇーよ。痛いのは筋肉痛の腰。
俺、昨夜は年甲斐もなく頑張っちゃったし。
お前って相変わらず大胆なんやねぇ。
久しぶりに腰ガタガタ」
それを聞いた私は一気に顔の色を失い
茫然自失の体で
「お先にシャワーお借りします」と、
出て行った。