
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第25章 揺れ動く気持ち
「「 あー、センセがどうしてここに、しかも
厨房にいるの??」」
「おー、2人揃ってお出ましか」
忍さんは各務さんが手にしてるボールの中の
抹茶クリームをひと舐めして、
「んー、こんなもんでいいと思うよ」
「了解。じゃ、仕上げに取り掛かるから」
と、各務さんはまた厨房に戻って行った。
「あー、そっか。2人とも知らなかったんだね」
「「??」」
「あいつ ―― 竜二とぼくは幼なじみで、あいつ
あれでもパティシエの資格持ってるから、時々
店の手伝いして貰ってるんだ」
「へぇぇ~ ―― 人は見かけによらないって
言うけど」
「本当だったんですねぇ……」
利沙がマスターに恋してるのと同じく、
私も……彼 ―― 各務さんの事が
好き、なのかも知れない。
自分の中で彼の存在がどんどん大きくなって
ゆく……。
