
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第27章 特別な場所
「わりー、待たせたな。ほら」
「あっ」
各務は絢音をバイクから抱き下ろす。
「りゅーじ、えっと ―― この方たちは?」
絢音はフルフェイスのヘルメットを脱いだ。
「ほぇぇ。やっぱお前らそーゆー関係だったのね」
”えっ! そーゆー関係ってどうゆう関係よ??”
と、心の中で問いかけるが、実際は顔を真っ赤に
赤らめただけ。
「おぉー! 和泉、お前そうしてると意外と
可愛いぞ」
「意外とだけ余計なんだよ。俺のあやはいつだって
可愛い」
”おねがい、もう止めて……”
超はずかしい……。
「なんだぁ~。皆んなが言ってる通りやね。
全然タイプちゃうやんかー。あ、私は玲子。
竜二とは実家がお隣同士で。その頃からラブ
なんやけど、全然相手にされんのんよ」
(あ、この人この前各務さんのバイクに
乗ってた女の人)
各務さんの彼女ってわけじゃないんだ……
絢音は少しホッとした。
「そら残念やったなぁ」と各務が言う。
「なにが?」
(各務さんって2人の前だと関西弁なんだ……)
各務がそんなふうに言っていた絢音の腰に手を回し
抱き寄せた。
「俺、もうコイツのもん」
(え……)
「えぇぇぇぇぇ!」
「な、何言ってるのよ、バカ! じ、冗談だから――
ほんとに」
絢音は必死にごまかした。
「冗談じゃねぇし」
絢音の唇にキスをする。
どよよよっと周りがどよめく。
「か、各務さ……」
「マジかよ。あちゃちゃー。
どれだけ各務贔屓の女達が泣くか」
「各務がロリだったなんて……どうりで私の
フェロモン通用しなかったはずだわ。うぇ~ん」
玲子が泣きだす。
「あほっ。誰がロリや?! 絢音限定やっちゅうねん」
「よしよし、玲ちゃんはわいが慰めちゃるで?」
「日向がぁ? いやや、いやや。竜二がええっ
うぇ~ん」
玲子は絢音の顔をぐいっと掴み、
じぃぃぃぃっと見つめる。
