
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第28章 試練
『じゃ、佐藤さん、自己紹介を』
和美は皆に向かって丁寧に一礼し、
「今日から皆さんと一緒に勉強する事になりました
佐藤和美といいます。あと3ヶ月ちょっとで
卒業ですが、仲良くして下さい」
「―― という事で佐藤さんの席は……」
神宮寺さんが”ハイ、先生”と挙手をした。
「何かしら? 神宮寺さん」
「実は、和美と私両親の仕事関係で昔から知り合い
なんです。隣じゃダメですか?」
絢音はこの瞬間、さっきの紙と写真が和美から
もたらされたと確信した。
中嶋は神宮寺さんの隣の男子に声をかける。
「神宮寺さんはこう言ってるんだけど、**くんは
どうかしら」
「あ、ボクは別にいいっすよ」
と、本来和美が座る予定だった空席に移動した。
「じゃ、佐藤さんは神宮寺さんの隣ね」
「はい」
和美はさっき空席に移動した男子へ小声で
”ありがとう”と言い、神宮寺さんの隣に座った。
