
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第31章 明るい明日はきっと来る!
『今から実家へ行って、両親にお前の事を
全て話すつもりだ』
竜二さんからのこんなメールを受信したのは、
東京駅の新幹線ホームで電車を待っている時だった
電車の入線時間は迫ってるけど、
私は慌ててコールバック。
「もしもし、竜二さん?
お願いだから早まらないでっ」
『早まるなってのは、何だよ~。
俺としちゃあコレは最初から計画してた事だ』
「でも、抜き打ちみたいなやり方は酷いよ。
私にも事前に相談くらいはして欲しかった」
『相談したら、
お前は今みたく大騒ぎして止めたろ?』
「!!……」
た、確かに止めてた……。
『心配すんな。多分、夜には朗報を届けてやるよ。
じゃあな』
通話が切られても、動けなかった。
彼の試みは絶対失敗する。
だって、広嗣さんは何が何でも竜二さんを
神宮寺愛奈と結婚させる気だもん。
ご両親だってこんな土壇場での婚約破棄を
許すハズがない。
それにあの神宮寺氏自身も、そんな事を知れば
黙ってはいないだろう。
自分が身を引けば、全ては丸く収まる。
もしかしたら、事態はそんな簡単に済む問題
じゃないのかも知れないけど、
私がこのまま竜二さんについていれば
彼はますます暴走する。
とりあえず、なるべく早く彼の元から離れなきゃ
いけない。
