
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第33章 偶然
薄給の高校教師から、一部上場企業の役員になった
竜二は一応ヤングエグゼクティブ。
そんなゲストだけに与えられた特別サービス、
エキスプレスチェックインでホテルの地下駐車場
からそのまま客室へ向かう途中で、
2人の欲情はマックスを振り切る。
あの、秘密の場所であれだけ肌を重ねたのに、
2人はエレベーターの中でもキスを交わし、
キスをしたまま竜二がドアの施錠を開けて中に入る
そのドアのオートロックがかかった瞬間、
横の壁に押し付けられて服を脱がされた。
「ん……っ」
全裸にさせられた絢音は竜二と一緒にシャツの
ボタンを外す。
2人とも欲情して焦っているのでうまく外れない。
幾つか引き千切れて床に落ちたボタンの音を合図に
身体を舐めあった。
そのままバスルームへもつれ込む ――
車の中で一戦交えてきたというのに……
そんな余裕は微塵もない。
竜二も絢音も欲情しきっていて、
「はぁはぁ ―― ごめん、俺、抑えられん……」
「私も、同じ……ね、もう、きて――
竜二の好きにシてええから」
*** *** ***
次に目覚めた時、私は湯船の中にいた。
「ん ―― 起きたか?」
湯船に体を浸した竜二が私を抱いていた。
「起きた」
「身体は洗った。立てるか?」
「多分……」
お湯から出るとき、よろけて沈みそうになった
身体を竜二がしっかり支えてくれた。
笑いながら「待ってろ」と自分が先に
湯船から上がり身体を拭き下着をはくと、
私を迎えに来た。
「ホラ、手を出せ」
腕を引かれて湯船から出た私の身体も拭いて
バスタオルを巻くとお姫様抱っこ。
「―― ん?」
「……久しぶり」
「ふふ ―― そうだな」
