
オオカミは淫らな仔羊に欲情する
第18章 体育祭
昼休みが終わってすぐに始まった『騎馬戦』は、
全学年のクラス対抗っていう何だか凄いものだ
どう考えたって下級生が不利だと思うけど、
そこらへんは毎年、容赦ないみたい。
体重が軽い女子という理由で、問答無用。
私は騎手にさせられた。
攻撃チームの指揮をとるのは学級委員の
チョ-さんで、まずはやはり、1年を狙おう
という話になっていた。
ピストル(スターター)の合図で、
一斉に一番近い1-Aめがけて走って行った。
各騎馬の騎手が被っているクラスごとに色違いの
体育帽を幾つ取れるかで、勝敗が決まる。
狙いをつけた1-Aのひと組の騎手へ手を
伸ばしかけた時 ――。
突然横っちょから腕をを引っ張られた。
懇親の力で思い切り引かれて、バランスを崩し
『あっ!』と思った瞬間、掴まっていた騎馬の
男子から手が離れて、後ろに倒れていく感覚に、
瞬間的に冷や汗がドッと出た。
うわっ!! 落ちる!
そう思って、頭を守ろうとした瞬間、
誰かに抱きかかえられていた。
