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my destiny

第16章 Accident 3

【翔side】

俺は自分に言い聞かせる。
男の状態と現場の状況を把握して、智君を取り戻す糸口を見つけるんだ。


「そこにガソリンはまだあるんだよね?」

『うん』

「火をつけたりしそうな感じ?」

『ううん、忘れてると思う』

「返事だけでいいよ
乗客を人質にとったりする様子は?」

『ううん』


やっぱり。

ホームに居た時の様子からも思い付きで新幹線に乗ったみたいだったし、計画性のない突発的な行動だったんだろう。

念の為、警察が手配して、前後の車両に乗ってる乗客は別の車両へ移動させることになってる。
今頃、車内にいるJRのスタッフが頑張ってる筈だ。

あとは、智君を無事に取り戻すことと、男の確保。


「郡山に着くまでなるべく逆らわないで
着いたら警察が居るから、
降りたらとにかく階段に向かって全力で走って」

『しょおくん、このお兄さんいい人だよ』

「うん、ボンちゃんの友達なんでしょ?」

『うん』


泣き声が収まって、普通に話せるようになってきた。
智君が落ちついてくれば、男を説得出来るかもしれない。


「なるべくでいいから
その人がガソリンのこと思い出さないように出来る?」

『うん…しょおくん、
オイラのせいでライブ、
出来なくなったらどうしよっ…っ…』


ああ、駄目だ。
また、泣いちゃう。


「大丈夫だよ
俺がちゃんと事務所に言っといた」

『でもっ…マ、マスコミとかっ』

「智、喋んないでいいから
帰ったら二人で叱られよう、ね?」

『オイラまた迷惑っ、めいわくかけっ
うっ、うう~…』

「智、さとし?」


呼びかけていたら声が変わった。


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