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my destiny

第4章 Pandora's box

【智side】

葛根湯のお陰か、その日の収録は問題なく終わって、予定通り後輩たちと翔君と4人で食事に行くことになった。

後輩ってのはユーリとフーちゃん。

ユーリからは、オイラと2人でゆっくり食事したい、って前から言われてたんだけど。

俺、話すの下手だから、マンツーって苦手なんだよね…。

もうイイ年の大人のくせに情けないとも思うんだけど、自分の感覚を表現する言葉が上手く出て来なくて。

人と話すといつも、もどかしい。

一生懸命言葉を探すんだけど、伝わらなくて、ちょっと違うんだよなぁ、って思うし。

相手が良い人で、こっちを理解しようと頑張ってくれるタイプだと、尚更申し訳ない気持ちになるし。

他人に気を遣わせてる自分に疲れて、面倒になっちゃうんだ。

そうすると、帰りたくなる、っていうか、だから最初から行かない方が多い。

ユーリは慕ってくれてるし、可愛い後輩だけど、尚更がっかりされたくないって言うか。

映画のプロモーションで顔を合わせる機会も多かったし、これ以上は避けきれない感じだったから、今回は翔君とフーちゃんを巻き込んでしまった。

1回行けば、当分は行かなくていいし。

って、我ながらヒドイよなぁ。



翔君が予約してくれたのは個室のあるしゃぶしゃぶ屋さん。

若い2人の口から、外部の人に聞かれたらまずい話が出るかもしれないから、最初にガッツリ注文して後は放置してもらえる店の方が良いだろう、ってことでそこに決めた。

なので、酒も最初にワインをボトルで頼んでしまう。

オイラは翔君が睨むから、乾杯だけにして、あとはお茶だけど。

あの後、体温計を借りて熱を測ったら平熱だったし、自分的には体調は悪くないんだけどね。

あんまり食欲はないかもしんない。



乾杯からしばらくは、それぞれのグループの近況とか、最近誰と飲んでどうだった、とかの話で盛り上がり、取り敢えず食べる方が優先になった。

オイラはウーロン茶を飲みながら、安心して3人の話を聞いて楽しんでた。

ほとんど話してるのはフーちゃんと翔君だけど。

ユーリは緊張してるのか、口数が少ない。

でも、元々、静かな方が好きみたいなこと言ってたし。

翔君が居てくれるから大丈夫だろう。








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