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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第3章 過去

 初音の感情が聞こえた瞬間、私は目を開けていた。驚きと、そしてもうひとつ感じる。

 ――確かに感じる感触に戸惑いばかりを抱いて。

 目の前には、瞳を閉じた初音の顔がいっぱいに広がっていて、唇には有り得ない筈の暖かさと、息苦しさ――。
そして、確かに感じる息の根があった。

 ――この日――。私は、この日初めて。


 ――口付けというものを知ることになった。

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