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Happiness day

第28章 Crasy Moon ~キミ•ハ•ムテキ~

「ごめん、理解が追いつかない…
あの看板のモデルが櫻井さんで、智のモデルを引き受けたのも櫻井さんってこと?」

「おう」

「…櫻井さんは、女性なの?」

「女性に見えるか?」

ニノは翔を頭の天辺から足の先まで見下ろし、最後に顔に目線を戻す

「顔だけなら見えなくもないけど
でも、男性だよね」

「ま、そう言うことだ」

ニノは腕組みをし、俺と翔を往復して眺める

「んで?女神が男だってわかっても、惚れちゃった訳だ?」

勘の鋭いニノは、皆まで言わずとも俺たちの関係に気付いたようだ

「ふふっ、そう」

「まぁ、だらしない顔しちゃって…
大野さんのそんな顔、初めて見たんですけど」

「ベタ惚れだからな」

翔を見てそう言うと、翔は顔を紅く染めた

「それだけの惚れ込みようじゃ、惚れた理由は見た目だけじゃないって事か」

ニノは顔を紅くしてる翔を見て微笑んだ

「なんとなく分かる気がするよ
大野さんが惚れたのも…
ふたりの雰囲気、いい感じだしね?」

「さんきゅ」

ふふっ、と笑ったニノが、空になったコーヒーカップをシンクに持って行き、手早く洗う

「これからデートなんだろ?
お邪魔虫は退散するわ。じゃ、また」

「ん、またな」

「お気をつけて…」

ヒラヒラと手を振って、ニノが部屋を出て行った

「さ、俺たちも行こうか」

「うん…あ、そうだ。美味しいコーヒー豆見つけたから、買って来たんだ」

翔がバッグの中からコーヒー豆を取り出す

ここにコーヒーメーカーを置くようになったのは、勿論翔の影響だ

「ほんと?ありがとう
早速、明日淹れてみる」

受け取りながらそう言うと、翔が躊躇いがちにこう言った

「あの…明日の朝…俺が淹れてもいいけど?」

それって『今夜ウチに泊まらない?』ってお誘いだよな?

恥じらいながらも誘ってくれる翔
愛しさで胸が熱くなる

「うん。じゃあ、ご馳走になろうかな」

返事と共にそっとキスをすると、翔は美しく微笑んだ。


翔は本当に俺の女神だったよ
アルテミスじゃなくて、エロスだったけどね。


〈end〉

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