
伯爵様と奥様の、愛し愛する性生活
第1章 Ⅰ
エドガーの真剣な瞳に、アイリスはドキッと心臓が鳴る。
(エドガー様は、いつも私のことを大切に扱ってくださる…)
指に歯型がついたのを見た時、エドガーが一瞬ひどく焦ったような顔をしたのをアイリスは見た。
自分ではちょっと痛かっただけで、声を抑えるためにと気にしていなかった。
でも彼は、そんな些細な傷がつくことも許さない。
これは結婚した時からずっと変わらないことだった。
妻の身体を一番大切に扱ってくれて、かつ一番愛してくれる、優しい夫。
こうして愛を確かめ合う行為の最中でなくとも、普段の生活の至る所で彼の優しさを感じる。
そのたびにアイリスは、エドガーのことをどうしようもなく愛していると改めて思うのだ。
今までで自分をここまで大切に扱ってくれた人間はエドガー以外に誰もいなかった。
実家のメイドたちはもちろん別だが、伯爵の位をもつ者で、没落し落ちこぼれた子爵家の娘のことを擁護してくれる人間などいるはずもない。
エドガーはアイリスにとってただ1人、自分を他の令嬢たちと平等に接してくれた男性だ。
妻にまでしてくれたのだから、彼の願いは全て叶えたい。
昼間のお仕事の手伝いや、休憩中の話し相手など。
そして、夜の夫婦の営みの間も、彼がしてほしいと願うのならなんでもやってみせると心に誓ったーーーーーつもりだったのだが。
