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君の光になる。

第9章 手紙

「安倍さん、ハガキ……」
 
「ああ、届きましたか? 少し心配だったんです。届くか、どうか……」
 
「点字……」
 
「ああ、通販でセットを買って、それで……間違っていませんでしたか? 完全に独学なので……」
 
「はい、完璧でした」
 
「あははっ、そっか、よかった」
 
 夕子と組んだ逆の手が彼の頭の方に動き、ポリポリと掻いているのが分かる。
 
「ふふふ、安倍さん、小学生みたいですね。私とても嬉しかったです」
 
 夕子は空を見上げた。目が潤んでくる。
 
「ああ、もうそろそろ帰らないと……」
 
 安倍が呟く。
 
 指先で指触時計を撫でた。午後九時四十分。
 
 ――帰りたくない……帰りたくない、って言わないと……。後悔……後悔するのはイヤ……。
 
「……安倍さん……もしよければ……私、もう少し一緒にいたいです。安倍さんと……」
 
 胸が高鳴った。
 
 安倍の腕に強く夕子を引き寄せられる。トニックシャンプーの匂いが近くにあった。
 
「いましょう。今夜は一緒に……」

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