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君の光になる。

第2章 再会

「あの……」と、肩を軽く叩かれた。
 
「僕に掴まって……」
 
 聞き覚えのある声だ。すうっと身体が浮き上がる。確かにこの駅で助けてもらった男性だ。
 
 夕子は男性に引かれ歩を進める。
 
「あ……以前ここで……ありがとうございました」
 
「えっ、はい……僕が分かるんですか? あ、僕の方こそ……」
 
「え……」
 
「あなたが、雨が降るかも、っておっしゃったのでコンビニで傘を買ったんですが……夕立が降り出して……」
 
「……よかったです。お役に立てて……あの……足、大丈夫ですか?」
 
「え……? 分かるんですか?」
 
「この前に比べて肘が上がっているような……」
 
 少し上がった男性の肘は、歩を進める度に上下に揺れていた。
 
「ああ、実は、この間右足、捻挫しちゃいまして……」
 
 男性の声が恥ずかしそうに笑った。
 
「ね、捻挫? 大丈夫ですか? ご、ゴメンなさい。もう、私……」
 
 夕子の手のひらに白杖のストラップが触れた。
 
「ここから真っ直ぐ歩いて、五、六歩の所にエスカレーターがあります」
 
「あ、ありがとうございました」
 
「あの、お、名前……」
 
 男性の声が小さくなった。
 
「立花……立花夕子です。あ、はじめまして……」
 
 夕子が笑いながら戯《おど》けてみせた。
 
「僕は安倍光《あべひかる》です。あ、あの……立花さん……また会っていただけますか?」
 
 安倍の恥ずかしそうにな声がしていた。
 
「会って……えっ、あ、ぜひ……」
 
 シャーシャーという蝉の鳴き声のボリュームが上がった。

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