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～蘆笙side～




ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ……


昼休みの終わりを告げるチャイムが
校内に鳴り響く。

俺、躑躅森盧笙は次の授業がある教室へ行く為に
渡り廊下を歩いていた。


「あー、きょ、教室まであと数歩……
だっ、大丈夫や、俺……
毎日やっとる事やろ……
も、もうさすがにな、慣れて来たはずや……」


教室の前に着き、引き戸に手を掛ける。
深く息を吸い込んだ。



ガラガラッ!!



その時いきなり引き戸が開き、
教室から飛び出てきた生徒とぶつかり
尻餅をついた。


「痛た…な、なんや急に飛び出てきて……
もう授業始まんで」

「ご、ごめん先生！大丈夫！？」


ぶつかった生徒の手を借り、立ち上がった。


「で、何があったんや？腹でも壊したのか？」


聞くと、生徒は目を光らせ、こう言った。


「ちがうわ！校門前にな、
有名人が来とるらしいわ！」


「はぁ？……有名人？」

「そう！有名人！
まだ誰かって言うのは詳しく知らんねんけど
結構大物らしいから見に行きたいねん!!」

「はあ、何言うてんねん、授業始まるやんか」

「先生頼むって！！
俺らの学校に有名人なんかもう二度と
来んかもしれへんねんで!!?
頼むわ〜!!一生のお願い!!」

「……そんな……でも今日ほかの先生何も
言うてへんかったし、何かの誤解じゃないんか？」

「あっ！そんならあとからでも良いし
蘆笙先生も見に来いや！
ほな、俺らは先に行っとくわなー！」


そう言って話を切りあげ、
俺を背に手を振りすごい速さで校庭へ駆け出した。



「お、おい！……こら待て！
おい！……まったく。
廊下は走るないうたやろ……」


「んじゃ、先生、私らも見に行くね！
ちょっと見たらすぐに蘆笙先生ん所戻ってくるから」


一人の生徒を皮切りに、
次々と教室を飛び出して行く。

一瞬で教室は空になった。




｢……全員行ってもうた｣




これは、なんかあった時の為に
俺も行っといた方がええんやろか……



そう考え、俺も校庭へ向かった。





それにしても、有名人て、何かのロケか？
でも、なんも聞いてないし、
授業の進行の妨げになるから
できるだけはよ切り上げてもらわなあかんなぁ。

ああ、ちゃんと言えるかな……
緊張して来た……。