
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第14章 煩悩はつまり子煩悩?
「それは翔には決められないよ? 」
ーーー?!
突然私の方へ視線を移したひぃくんに、驚いた私はビシッと固まる。
な……何ですか……?
「花音、もうすぐDT卒業だよねー? 」
「えっ……あ、あの……DTって何? 」
質問の意味がわからずに思わず狼狽える。
そんな私を見て、ニッコリと微笑んだひぃくん。
「……花音、子供って可愛いよねー? 」
「へっ……? 」
突然その質問内容を変えたひぃくんに、素っ頓狂な声を出してしまった私。
「子供好きでしょ? 」
「えっ?……あ、うん」
私の返事に満足したのか、フニャッと笑ったひぃくんはお兄ちゃんを見た。
「ほら、うんって言った。もうすぐDT卒業だね、楽しみだなー」
「無理矢理言わすなよ……」
そう言って呆れた様な顔をするお兄ちゃん。
「ねぇ……彩奈。DTって何? 」
「……ドーテー」
チラリと私を横目にした彩奈は、そう告げると小さく溜息を吐く。
へー……ドーテーかぁ。
ドーテー……ドー……ってあの童貞?!!
……えっ?!
って事は、今の会話の意味は……。
恐る恐るひぃくんを見ると、私の視線に気付いたひぃくんとバチッと目が合った。
「楽しみだねー、花音」
そう言ってフニャッと小首を傾げるひぃくん。
何て事だ……。
まだそんな覚悟なんてないのに……。
私は「うん」なんて返事をしてしまった……?らしい。
だってわかりにくいんだもん、ひぃくんの言葉。
……どうしよう。
私は本当にひぃくんと約束しちゃったの……?
目の前でニコニコと嬉しそうな顔をみせるひぃくん。
それを見て愕然とする私。
お願いだから……もっと正しい日本語で話して下さい……。
私は今にも泣き出しそうな情けない顔をしながら、顔面蒼白でアハハッと小さく笑い声を漏らしてひぃくんを見つめたーー。
