
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第1章 私の幼なじみはちょっと変
「ひぃくん……また勝手に入ってきたの?」
私は溜息まじりにそう言うと、たった今キスをされた頬をゴシゴシと擦る。
「んー花音と一緒じゃないと眠れなくて」
フニャっと笑ったひぃくんは、そう言って私を抱きしめると再び頬にキスをする。
何度も……何度も。
「やー!ひぃくん、やめて!」
「んー可愛い、花音」
私は本気で嫌がっているというのに、ニコニコ微笑むひぃくんはガッチリと私を掴んで離さない。
ベッドの上でジタバタと暴れていると、廊下からバタバタと走ってくる音が聞こえ、次の瞬間、私の部屋の扉が乱暴に開かれた。
ーーーバンッ
目の前の扉から現れたのは、スラリと背の高い黒髪の美しい人。
その綺麗な顔は、私の横にひっついているひぃくんを捉えると、途端に鬼のような顔に変わる。
「響……」
唸るような声を出すと、ギロリとひぃくんを睨みつける。
「お兄ちゃん……た、助けて……」
私はその鬼……
ではなく、お兄ちゃんへ向けて助けを求めた。
お兄ちゃんはズンズンとベッドへ近付くと、私の横にひっついているひぃくんの首根っこを掴む。
「また来たのか……響」
「あ、翔《かける》。おはよー」
鬼の様な形相のお兄ちゃんとは対照的に、ひぃくんは相変わらずニコニコとしている。
