
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第4章 君はやっぱりヒーローでした
「ーーねぇ、花音ちゃん」
目の前にフッと影が差し、帰り支度をしていた私は手元から視線を上げると声の主を見た。
私の目の前でニコリと微笑むクラスメイトの志帆ちゃん。
「今日これから暇?」
「うん、どうしたの?」
「今日ね、これから合コンがあるんだけど……花音ちゃん一緒に行かない?前に彼氏欲しいって言ってたよね?」
私の様子を伺うように、小首を傾げて訊ねる志帆ちゃん。
「行きたいっ! 彼氏欲しい!」
勢いよく立ち上がった私に、クスクスと笑う志帆ちゃん。
「良かった。南高の人なんだけどね、可愛い子呼べって煩《うるさ》くて」
「えっ……わ、私で大丈夫なのかなぁ……?」
行きたい。けど……
可愛い子しかダメなら、私なんてお呼びではないんじゃ……。
「大歓迎だよ!花音ちゃんが一番可愛いもん!」
そうお世辞を言ってくれる志帆ちゃん。
なんて優しいんだろう。
「駅前のカラオケで集合だから、一緒に行こう?」
「うんっ!」
合コンなんて初めてな私は、ワクワクした気持ちで笑顔で答えた。
問題なのはひぃくんとお兄ちゃん。
もうそろそろ教室に迎えにくるはず。
何て言い訳をしよう……。
素直に言ったところで、絶対に許してくれるはずはない。
かと言って、嘘も付けない。
ついこの間お兄ちゃんに約束してしまったから……。
残る手段は一つ。
「彩奈!先に帰ったってお兄ちゃんに言っておいて!志帆ちゃん、ダッシュで行こう」
近くにいた彩奈にそう告げると、私は志帆ちゃんの手を取り急いで教室を出る。
後ろから「えっ?!ちょっと花音!」と言っている彩奈の声が聞こえる。
ごめんね、彩奈!
後はまかせた。
心の中で謝罪した私は、そのまま志帆ちゃんを連れて教室を後にしたーー。
