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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第4章 君はやっぱりヒーローでした



ヘタレな私は心の中で溜息を吐いた。

ダメだ……
私合コン無理かも……。

カラオケ店に入って十分弱。
来るんじゃなかったと後悔をした。

その後も話を振ってくれる蓮さん。
私はというと、ただ黙って話を聞いているか、時折「はい」とか「そうなんですね」と返事をするだけだった。

ダメだ……会話が続けられない。

「あ、あの……トイレに行ってきます」

そう伝えると、私はトイレへ逃げ込んだ。

どうしよう……。
もう帰りたいとは流石に言えない。
カラオケがあるなら大丈夫かな?なんて思っていたけど。
さっきから誰も歌など歌っていない。

合コンてそういうものなの?
これでは場がもたない。

私は小さく溜息を吐くと、目の前にある鏡を見た。

「もう戻らないとね……」

情けない顔をする自分に向けて小さく呟く。

いつまでもトイレにいるわけにもいかず、私はすっかり気落ちしてしまった心のまま部屋の扉を開いた。

「え……?」

部屋へ入ってみると、さっきまでいた志帆ちゃんの姿が見当たらない。
室内を見渡してみると、あのチャラそうなイケメンさんの姿もない。
それどころか、志帆ちゃんの荷物までないのだ。

「あの、志帆ちゃん達は……?」
「あの二人なら先に帰ったよ」
「えっ……?!」

さ、先に帰った?!
志帆ちゃん、私を置いて先に帰っちゃったの……?

呆然と扉の前で固まる私。

「ここからは二人で楽しもうね」

立ち尽くしていた私の腕を掴んだ蓮さんは、そう言うと私をソファへと座らせる。
私の肩にまわされた蓮さんの腕に、ガッチリと掴まれ身動きが取れない。

あ、あれ?
何か……怖い……かも。

「あの……私も……か、帰ります」

小さな声で縮こまってそう伝える。

「なんで?」

そう言ってニッコリと微笑む蓮さん。

微笑んではいるけど……私の肩を掴む蓮さんの力が強くて何だかとても怖い。

どうしよう……。
帰りたい。

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