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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第6章 君はやっぱり凄く変


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「……」

足を外に投げ出して水に浸かる私は、呆然としながら小さな子供用プールに座っていた。

小さな子供用プールでは、私の腰上までしか水がない。
これで本当にプールと言えるのだろうか……?

私はゆっくりと首を動かすと、開け放たれた窓からリビングを見る。
ソファで寛《くつろ》ぐお兄ちゃんは、私と目が合うと顔を引きつらせて目を逸らした。

お兄ちゃん……。
何で目を逸らすの……?
お兄ちゃんのせいで私今こんな事になってるのに。
酷い……。

呆然としたまま、黙ってお兄ちゃんの姿を見つめる。

お兄ちゃんがプールだなんて言うから、ニッコリ笑ったひぃくんは「ほらね? プールだよー」と言って無理矢理私の服を脱がせた。

そのまま子供用プールに入れられてしまった私。

何で……?
私はただ……
海に行きたかっただけなのに……。
何でこんな事になったの……?

「楽しいねー花音」

声のする方に視線を向けると、幸せそうに微笑むひぃくんが携帯のシャッターを押した。

「花音可愛いー」

なんて言いながら、嬉しそうに携帯を覗くひぃくん。

何なのこれ……。
放心しすぎて言葉が出ない。

「肩まで水かけようねー」

そう言ったひぃくんは、アヒルの玩具を片手にホースで私に水をかけ始める。

「ひ……ひぃくん」
「んー? なぁにー?」

小さく震える声を出した私に、ニコニコと微笑みながら小首を傾げるひぃくん。

「私……もう出たいな……?」

引きつる顔で懸命に笑顔を作った私は、隣にいるひぃくんを見つめてそう言った。

とりあえず一度は入ったんだし、もう解放されたい。
お兄ちゃんとひぃくんにしか見られていないとはいえ、もうこれ以上の屈辱には耐えられなかった。

ひぃくんだってもう満足したはず。
そう思った。


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