
美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜
第1章 私の幼なじみはちょっと変
制服に着替え終わった私は、一階へ降りるとリビングの扉を開けた。
フワリと香る朝食のいい匂い。
ダイニングを見ると、既にそこに座っていたひぃくんがニコニコしながら手招きをする。
私は黙ってダイニングへ近付くと、ひぃくんとは離れた席へ座った。
それを見たひぃくんは、座っていた席から立ち上がると私の隣へ座り直す。
チラリと隣を見ると、ニッコリ微笑むひぃくん。
「ーーおい」
後ろを振り返ると、鬼の形相のお兄ちゃんがひぃくんを睨んでいた。
「なんで毎朝お前がいるんだよ」
そんな事を言いながらも、手に持った朝食を私とひぃくんの前に置く。
何だかんだ言いつつも、毎朝ひぃくんの分も朝食を用意しているお兄ちゃん。
「ありがとー。翔は料理が上手だね」
お兄ちゃんの質問とは全く関係のない返事をするひぃくん。
私の家では今、お兄ちゃんが毎日食事を作ってくれている。
お父さんの海外赴任に着いて行ってしまったお母さん。
二人だけになってしまったこの家で、毎日ほぼ全般の家事をお兄ちゃんがこなしているのだ。
