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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第10章 君とハッピーバースディ



私はひぃくんから封筒を受け取ると、中に入っている紙を開いた。

え……
これって……。

「本当に嬉しいよ、花音。十六才おめでとー」

ニコニコと微笑むひぃくんの横で、私は封筒から出した紙を持ったまま固まってしまった。

封筒から取り出した紙は、テレビとかで見た事のある……婚姻届だった。

しかも、ひぃくんの署名入り。

えっと……。
……え?
私ひぃくんと結婚するの?

お兄ちゃんを見ると、私の手に握られた紙を見つめて固まっている。

「……ひぃくん……私……」
「んー?あ、どこに書けばいいかわからないの? ここに署名するんだよー?」

ニッコリと笑ったひぃくんは、そう言うと私にボールペンを渡した。

いや……違うよ。
そんな事が聞きたいんじゃないよ、ひぃくん。

というか、今どこからボールペン出したの?準備がよすぎて怖い……。

思わず顏が引きつる。

「……はっ?!」

固まっていたお兄ちゃんが突然立ち上がると、目を見開いてひぃくんを見つめた。

「どうしたのー?翔《かける》。あっ……今日からお兄ちゃんだね。よろしくねー、お兄ちゃん」

フニャッと笑って小首を傾げるひぃくん。

え……?
お兄ちゃんてひぃくんのお兄ちゃんになるの?

呆然とお兄ちゃんを見つめる私。

「……はっ?! なんでだよ! 結婚なんてさせるかよ! 第一未成年じゃできないだろ!」
「できるよー? ちゃんと証人がいるし。……ほらね?」

そう言って婚姻届を指差すひぃくん。

そこには、ひぃくんのお父さんとお母さんの名前が署名してある。

「ふざけんなっ! 花音はまだ高一だぞ?! 大体何でお前と結婚なんだよ!」
「だって花音は俺のお嫁さんだもん。大丈夫だよ、お兄ちゃんもちゃんと構ってあげるからー。そんなに興奮しないで?」

ニコニコと微笑むひぃくんに、真っ青になったお兄ちゃんは勢いよく口を開いた。

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