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風に吹かれて

第10章 5×20オーラス③

恐らく私だけではないと思うが、青担にはトラウマがある。

宮城の前に出た報道。
彼がそういう事実はない、と言った言葉だけを、すがるように信じた。

別サイトでも書いたことがあるが、あれだけの目に遭った彼がどんなに傷ついたかを想う時、今でも申し訳ない気持ちになる。



それで。
休止の発表があった際にも、根っこにあるのはアレだろうな、と思った。

上毛新聞の記事のことは、彼自身の言葉だったにも関わらず、日々流れて行く玉石混交の情報に紛れてしまって。

やりたいことを自分から発信してみよう、という意志表示をしてくれていたのに。
彼の情熱を尊重出来ずに、追い詰められていく姿をハラハラしながら眺めるばかりで。

彼が口火を切ったことを恨む他担さんの声を聞きながら、会見の後、げっそりと痩せてしまった姿を見ていた時、ただただ辛かった。



今、あの会見の映像を見返すと、彼は本当に不安そうな顔をしている。
途方に暮れた迷子みたいに、いっそ、あどけなく見える程だ。

『自分のやりたいことはまだ見つかっていないんですけど、ちょっとゆっくり休んで考えたいなと思っています』

『一回立ち止まって自分を見つめ直してみたい、というのがデカイですね、自分の中では。
疲れた、ということではない』

本当に、どうしたらいいか分からなくなる程の苦悩だったのだろうと思う。
自分は何をしたいのか、どうすべきなのか。
見失ってしまう程の。



グループとしての活動を終えたいと言えば、5人でなければ嵐じゃない、と偽りないメンバーの心情が返って来る。

グループとしての絆が重しになって彼を縛る。
何よりも彼自身が宝物と感じ、大切に想っている。

当初は活動を終える、という話だったことを思えば、5人揃っての活動がなくなるということは、イコール他の4人が個々に活動するということで。

メンバーそれぞれが個人でも十分活動出来ることは知っていても、5人揃った姿を楽しみにしているファンから、自分の決断で推しを見る機会を奪ってしまう。

あのグループの中で、ファンの愛情が裏返った時の反応を一番知っているのは彼。
悲しむファンの涙を一番知っているのも、彼。

露出がそのままマネーに繋がる職業において、メンバーだけでなく関わる多くのスタッフ、会社にも損害を与えるかもしれない。



そうだよね、命懸けだったね。


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