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ヌードモデルは揺れる

第1章 裸にはされません


私は和田さんの指示で、右足に重心を変え、顎を引いた。

女性の着衣像を描きたいと、私の所属事務所に来た和田さんは、
プロフィール・ブックから私を選んだという。

20ページあるブックは、私の載る4ページ目以降はめくられることはなかった。あとのページに、より理想的な容姿のモデルが載っているかもしれないのに。

事務所からはそんな話を聞かされていたが、和田さんとは今日が初対面だ。

45歳、会社員、ご家族は奥さんと大学生の娘。

訪問した日曜日は和田さんしか家にいなかったが、居間に母娘の肖像画が飾ってあった。

客間をアトリエにするために和田さんがソファーや観葉植物を端に寄せている間、
私は居間で提供された青いワンピースに着替えた。

合図があってアトリエに入り、あらためて挨拶を交わし、仕事モードに入った。

モデル台はなく、絨毯に裸足で立った。

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