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お酒とオールバックに溺れる夜

第22章 第22酒 -戦友③の味-

純さんとの別れから
半年が経とうとしていた。

あれから
新しいお店を
開拓する気にもなれず

週末は家にこもる毎日だった。

時々
孝哉さんから
メッセージが届いて
出掛けようと
誘われたけど

そんな気になれなくて
断ってばかりいた。

金魚鉢の
純さんと
未亜は

仲良く
幸せそうに泳いでいる

「お前達はいいね...

一緒にいられて...」

餌をやりながら
涙が零れた。

純さんとの思い出を
今でも
鮮明に
思い出せる

どんな言葉で
どんな顔で
どんな指で
私に触れていたのか

忘れることなんて
出来なかった。

今でも
こんなに好き

馬鹿みたいに
大好き。

金魚鉢を見るたびに
胸が苦しくて

泣いてばかりいた。

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