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お酒とオールバックに溺れる夜

第23章 第23酒 -遅すぎた愛の味-

そんな日々が
続いていたある日

未亜ちゃんが
私を訪ねてきた。

気持ちにけじめをつけたいからと。

本当は
純を取り返しに来たんじゃないの!?

嫉妬に狂う
醜い私が
心の中で暴れ出す。

私は
ありもしない
純との
結婚話を持ち出した。

彼女は
一瞬
傷付いた表情をしたが
祝福の言葉を告げた。

自分より
純の幸せが大事。
なんて、
思っているのでしょうね。

私は
そんな
純粋な気持ちにさえ
嫉妬していた。

けれど
表面上は
極めて
冷静で
幸せな女を演じていた。

私は
隠れて会っていないか
鎌をかけたが
本当に会っていない様子だった。

でも
最後に店で会ったという日

純は
どんなカクテルを
作ったのか
聞いてみると

キャロルと
バックスフィズ
という
名前が返ってきた。

その答えに

私の心には
諦めにも似た感情と
腹立たしさと
悔しさと
悲しみが込み上げ

彼女と
一秒でも
一緒にいることが苦痛で
追い返したのだった。

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