
邪恋の爪痕と片恋の彼
第8章 知らない自分
――――野田が死んで…4ヶ月
朝、会社に来て…確認してしまうデスクに…
別のヤツが座っている。
細身のスーツを無難に着こなす男。
顔は朝見たのに――――昼には思い出せなくなっている。
野田じゃない…
そう思うと興味がなくなるのか…野田のデスクに座っていた男の顔は記憶から消されていた。
4ヶ月…
もう――――4ヶ月…
まだ――――4ヶ月…
俺の中では…
まだ
――――である…。
しかし、4ヶ月前の自分がどういう人間だったか…と、言うのは…思い出せないくらい…
4ヶ月と言う歳月は――――…長いのかもしれない。
