
邪恋の爪痕と片恋の彼
第3章 初恋の芽
初恋の…目――――いや、芽だ…。
しかし、あの歳で…初恋?
まさか――――…いやいや、そりゃぁないな…
でも、あの瞳の中の…不安、動揺、安堵、希望、安心…は、初恋の時の――――不安定な自己確認ににている。
しかも――――行動も…初恋行動じゃないか…
それから俺は、野田さんを見ながら…その奥にいる境井さんも見続けた。
境井 満帆…28歳
高校、大学とバレーをしていた割には178と身長は高くなく、ポジションがセッターと言うだけあってか…周りがよく見えているマルチタイプの――――何処にでもいるような社会人。
学生時代は女性とそれなりにお付き合いもしてきたと…飲み会でチラッと聞いた。その、流れで今は仕事が忙しくて彼女を作る余裕がない――――とも、いっていた。
が――――…
あの目は…
野田先輩への恋心をひたむきに隠す…不器用な初恋の態度…そのもの。
