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ブラコンですが、なにか?

第6章 Cute little brother Kazunari③

「ただいまぁ」

「お帰りー」

珍しく和也ではなく、潤の声が聞こえた。

リビングに急ぐと、モグモグとピザを食べ進める潤とシンクで弁当を洗っている和也の姿。


なにか……あったな。


俺はサッと手洗いを済ませるとリビングに戻る。

「だだいま」

「わっ、お…お帰りなさい、雅紀にぃ」

後ろからの俺の声にビックリしたのか身体を震わせた。

「あ…ごめん、今日ピザなんだ」


この落ち込みは『料理を作れず申し訳ない』って事ではなさそうだな。


「うん、潤からLINE来た。だから慌てて帰ってきただって潤、全部食べちゃいそうだもん」

俺はあえて明るく振る舞う。

「そんな食いしん坊じゃねーよ」

そう言ってもう一枚、ピザを口に運ぶ。


いや、まだ食うの?

見ている限りは半分くらい、食ってないか?


成長期は恐ろしい。


って、今はそれどころじゃない。


和也の元気のない理由だ。


「和也」

「ん?」

「先、風呂入ってきたら?俺、まだ食べ足りないし」

「おい、俺の分ホントになくなるだろーが!」

慌てたフリして、ビザに手を伸ばす。


この場から和也を離したいという意図を感じて、潤のノリに合わせるようにした。

和也も今の気分では、このノリの居心地はよくないはずだ。


「じゃあ……先に入ってくるね」

俺らの予想通り、洗い物を終えた和也は、そそくさとリビングを後にした。

「で、何があった?」

「わかった?和也の様子がおかしいの」

「当たりまえだ。兄貴、ナメんなよ?」

ふざけて見せたけど、わかりやすく和也が落ち込むなんてよっぽどの事があったに違いない。

「実はさ……」

潤の耳に話を傾けながら和也の事を想う。


まぁ色々と……思うところがあるんだろうな。

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