ここから始まる物語
第1章 わんぱくな王子さま
アウィーコート王国の王子といえば、手のつけられない腕白坊主として有名でした。
たとえば五歳のころのことです。王子は兄とチェスをさしていました。しかし、まだ幼かったせいもあって少しも勝てません。それで悔しがっていると、兄がうすら笑いを浮かべます。それに癇癪を起こした王子は、ルークの駒を掴んで兄の額へ叩きつけました。兄は額から血を流して、ひいひいと泣きながら父親に泣きついたのでした。そのあと父から怒られたのは、言うまでもないことです。
また、六歳の時にもこんなことがありました。
兄と木登りで勝負をしたところ、速さでも高さでも王子が勝ちました。でも負けた兄は気に喰わなかったのか、
「つまらない意地のために高くまで登ったものだ。下から火をつけられたら助からない。単純な頭だな」
と囃したので、王子はカッときて、
「火をつけられたらこうしてやらあ」
と木からパッと手を離して飛び降りたのでした。しかし地面に手をついた時に大怪我を負ってしまい、王家直属の医者を困らせたことがありました。
ほかにも、みみずをたくさん捕まえてきて、父親が座る玉座へ這わせてみたり、夜中に兵舎へ爆竹を投げ込んで厳戒態勢を敷かせてしまったりなど、あげればきりがないほど、たくさんのいたずらを重ねていたのでした。
それなので、父や兄はもちろん、家来やら指南役やら、城に詰める者はみんな、この王子に手を焼いていたのでした。
※
王子の名前はピスティ。
この物語の主人公です。
はてさて、この手のつけられない暴れものを、果たしてどんな試練や冒険が待ち受けているのでしょうか。
すべての始めとなる物語の始まり始まりです。
たとえば五歳のころのことです。王子は兄とチェスをさしていました。しかし、まだ幼かったせいもあって少しも勝てません。それで悔しがっていると、兄がうすら笑いを浮かべます。それに癇癪を起こした王子は、ルークの駒を掴んで兄の額へ叩きつけました。兄は額から血を流して、ひいひいと泣きながら父親に泣きついたのでした。そのあと父から怒られたのは、言うまでもないことです。
また、六歳の時にもこんなことがありました。
兄と木登りで勝負をしたところ、速さでも高さでも王子が勝ちました。でも負けた兄は気に喰わなかったのか、
「つまらない意地のために高くまで登ったものだ。下から火をつけられたら助からない。単純な頭だな」
と囃したので、王子はカッときて、
「火をつけられたらこうしてやらあ」
と木からパッと手を離して飛び降りたのでした。しかし地面に手をついた時に大怪我を負ってしまい、王家直属の医者を困らせたことがありました。
ほかにも、みみずをたくさん捕まえてきて、父親が座る玉座へ這わせてみたり、夜中に兵舎へ爆竹を投げ込んで厳戒態勢を敷かせてしまったりなど、あげればきりがないほど、たくさんのいたずらを重ねていたのでした。
それなので、父や兄はもちろん、家来やら指南役やら、城に詰める者はみんな、この王子に手を焼いていたのでした。
※
王子の名前はピスティ。
この物語の主人公です。
はてさて、この手のつけられない暴れものを、果たしてどんな試練や冒険が待ち受けているのでしょうか。
すべての始めとなる物語の始まり始まりです。