
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
【敵の本陣を狙う】
その頃、ピスティも出撃の頃合を見計らっていました。
ついさっき、ライが率いるアウィーコート軍の九割が、敵の中へ突撃を始めたところです。
ピスティは、門の近くにある建物に隠れて、敵が乱れるのを待っていました。
ピスティが率いているのは、アウィーコート軍の約一割の兵士たち。人数こそ圧倒的に劣りますが、腕自慢、力自慢ばかりを集めた精鋭部隊です。敵の本陣を不意討ちするくらいなら、難なくできるでしょう。
ライが率いる九割の隊は、みるみるうちに、敵の大軍と砂煙の中へ吸い込まれていきました。
それでも、ライが相当派手に立ち回っていることが、まだ街の中にいるピスティにもわかります。
おそらく、ライが梯子をものすごい勢いで振り回しているせいでしょう。敵の兵士の何人かが、時折、一斉に宙へ舞いあがります。また、猛獣のような雄叫びが響いてきます。ライの声でしょう。
その声は大地を震わせ、木々を揺らすほどの大音声でした。そんな、鼓膜がびりびりと震えるほどの大声で、ライが言いました。
「敵の食糧の隠し場所はもうすぐだ! みんなとにかく走るだよ!」
すると、敵の軍隊が大きく動きました。
それまでは、ライの進撃を止めようとする部隊と、その場にとどまって持ち場を守る部隊に分かれていたのですが、ライの叫びが聞こえた途端、ほとんどの敵がライを目指して追いかけ始めたのです。
城壁の前にひしめいていた敵は、あっという間にいなくなりました。もちろん残っている敵もいますが、それはごく少数です。
おそらく食糧を狙われていると知って、焦ったのでしょう。また、アウィーコート王国が小さな国だから、少しくらい持ち場を離れても平気だ、という油断もあったのかもしれません。
その頃、ピスティも出撃の頃合を見計らっていました。
ついさっき、ライが率いるアウィーコート軍の九割が、敵の中へ突撃を始めたところです。
ピスティは、門の近くにある建物に隠れて、敵が乱れるのを待っていました。
ピスティが率いているのは、アウィーコート軍の約一割の兵士たち。人数こそ圧倒的に劣りますが、腕自慢、力自慢ばかりを集めた精鋭部隊です。敵の本陣を不意討ちするくらいなら、難なくできるでしょう。
ライが率いる九割の隊は、みるみるうちに、敵の大軍と砂煙の中へ吸い込まれていきました。
それでも、ライが相当派手に立ち回っていることが、まだ街の中にいるピスティにもわかります。
おそらく、ライが梯子をものすごい勢いで振り回しているせいでしょう。敵の兵士の何人かが、時折、一斉に宙へ舞いあがります。また、猛獣のような雄叫びが響いてきます。ライの声でしょう。
その声は大地を震わせ、木々を揺らすほどの大音声でした。そんな、鼓膜がびりびりと震えるほどの大声で、ライが言いました。
「敵の食糧の隠し場所はもうすぐだ! みんなとにかく走るだよ!」
すると、敵の軍隊が大きく動きました。
それまでは、ライの進撃を止めようとする部隊と、その場にとどまって持ち場を守る部隊に分かれていたのですが、ライの叫びが聞こえた途端、ほとんどの敵がライを目指して追いかけ始めたのです。
城壁の前にひしめいていた敵は、あっという間にいなくなりました。もちろん残っている敵もいますが、それはごく少数です。
おそらく食糧を狙われていると知って、焦ったのでしょう。また、アウィーコート王国が小さな国だから、少しくらい持ち場を離れても平気だ、という油断もあったのかもしれません。
